開業へのカウントダウン7・気づかせていただいた

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「高久君、申告のほうはどうするのかね?」

現在リタイヤされている、元個人事業主のTさんから電話があった。

「青色申告にしようと思っています」

申告には青色申告と白色申告とがある。

個人事業の場合は青色が有利で、特典が多数ある。

そのなかで抜粋すると、

1.最高65万円の特別控除(必要経費以外)

2.家事関連が必要経費にできる

3.家族への給与が必要経費になる

4.減価償却の特例が受けられる

5.赤字損失分を3年間繰越できる

などがある。

しかしこれは、さらっと本で読んだだけ。

「ほとんどの個人事業主はドンブリで、2月になると慌ててやってるけどあれは最悪だからね」

Tさんは、最初が肝心だといった。

そして、毎月税務署に申告する気でやれといった。

「で、いつからやるの?」

私は、開業後の2ヶ月内に税務署にいって青色申告の申請をすると伝えた。

青色申告をするためには承認申請書が必要で、提出期限がある。事業を開始して2ヶ月以内と決められている。

「遅い遅い。それじゃあ遅すぎるよ。経費だけでも今からつけておいたほうがいい。ところで申告の方法は?」

私は手書きでというと、

「手書きぃ? 本気でいってるの? 税理士だってできないんだよ」

と、Tさんは呆れた声をだした。パソコンを持っているのなら、ソフトでやればいいと伝えてきた。

告白すると私は、あんまりパソコンは、得意じゃない。

税金に関しては少しかじった程度で、それほど考えていなかった。盲点だった。

「とにかく青色のソフトは最初の初期設定が大事だから、さっそく買って経費でも打ち込んで慣れていた方がいいぞ」

はい、とだけ私は答えた。

「それに会計用語や仕分け、勘定科目で頭から煙りが出てくるだろうから今から慣れていた方がいい。特別控除65万てなにが控除になるのかわかる?」

なにが控除になるか、わからなかった。

「まあとにかく今から慣れていた方がいい。たいてい最初でつまづいて、2月になって申告の準備始めるんだ。そうなったら目も当てられないぞ」

Tさんの気持ちが、携帯から伝わってくる。

「まず、ソフト買って、経費を打ち込んでおくんだ。来年度に繰越になるソフトな」

今までの領収書は、ノートに糊ではってある。

「白衣は勘定科目でなんていうかわかる? 切符代金の勘定科目は?」

私はどちらも答えることができなかった。

Tさんは笑いながら、

「開業と同時進行で経理もやっておいたほうがいいよ」

と、これから電話を切ることを告げた。

私はお礼をいって切った。

さっそく家に帰り、Mac用の青色申告ソフトを探した。Windows用のソフトは多いがMacはなかなか見つからなかった。

やっと見つけて、注文した。

( 勘定科目か……… )

どれはどの科目なのか、今から慣れる必要があるようだ。

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