クライアントさんで、肩こりに悩まされている方がいました。
ご自身の健康について、さまざまな試みをされていました。
「先生、腰は良くなったのですが、肩だけはどうもコリがとれなくて………」
よくお話を聞くと、腰が良くなってから毎朝2キロほどウォーキングをされてるそうです。
私は、ウォーキングのフォームを見させていただきました。
必要以上に腕を振っています。
これではいつも肩に入ってしまいます。
そこで、腕は必要以上に振らないで、ただ自然にぶら下げてウォーキングしてくださいと伝えました。
「ある人から腕を大きく振って歩いた方が体に良いときいたのですが」
私は事情を説明しました。
以前調べたのですが、どうも江戸時代までの日本人は、腕をふって歩いていなかったようです。
火事から逃げる大勢の人の絵などは、両腕をあげてはいますが、誰ひとりとして振っていません。
明治時代になって、軍隊の歩き方をドイツから取り入れたので、腕を振って歩くようになったそうです。
歩きですが、江戸時代までは、歩行の際、同足歩行をしていたようです。つまり、右手と右足、左手と左足を同時に出して歩いていたそうです。ナンバという歩き方だそうです。日本人は体を捻った動作をしない民族で、着物などは捻るとすぐに崩れます。
それから私は腕をふらないように、行儀が悪いですが、両手をポケットにいれて歩くように工夫して来ました。これだと無駄なエネルギーを使わなくて快適でした。
話はもどりますが、
私はクライアンさんに中心軸がまっすぐになったのを体感してもらい、腕が胴体にぶらさがっている感覚のまま、腕をふらないで歩いて下さいと伝えました。
「先生、とても違和感があって歩きにくいです」
今まで使っていなかった筋肉を使う事なので当然ですよ、とだけ言ってこの日は終わりにしました。
しばらく、3週間目に入った土曜日、その女性が見えられました。
「先生、気がついたら肩が苦しくなくなっていました」
と不思議そうな、うれしそうな顔でした。
日常生活で、無意識に体に力をいれていることが、あるかと思います。
慢性的な肩こりは、意外と無意識に行っている無理な動作が原因の場合があります。
・参考文献 甲野善紀著『武術の新・人間学』
武術の新・人間学―温故知新の身体論 (PHP文庫) 甲野 善紀 PHP研究所 2002-11 |
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